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Research Director 佐原 宏典

佐原 宏典

首都大学東京 システムデザイン学部
航空宇宙システム工学コース 教授

――現在の研究分野を専攻されるようになった背景から教えてください。
「もともと子供の頃から何となく宇宙が好きで、星や図鑑、宇宙関係のテレビを観るのが好きだったんですが、中学生の頃には、経済や経営を勉強したほうがいいのかなと思ったりした時期もありました。  
ところが高校の1年生の時に夢に見まして。他の惑星に行って宇宙人に追いかけられ、逃げまくった末に本屋に駆け込むんです(笑)。その本屋には色々な図鑑が並んでいて、自分たちの知らないことがたくさん載っている。さすがに図鑑に書いてあった内容までは覚えていなかったんですが、目が醒めた時に『自分はやはり宇宙について知りたいんだ!』と改めて強く自覚しましたね」

――鮮烈な夢ですね。
「ええ、夢を見たのは日付まではっきり覚えています。 1987年10月23日の朝でした。当時は日記をつけていたのですが、その日のページを開いてみると、ぎっしりと文字で埋まっていますから。自分にとっては、まさに『啓示』だったと思います。本屋がある星までたどり着くためには、やはりロケットや宇宙船を作らなければならないということで、宇宙絡みの『モノ作り』に関わりたいと思うようになりましたので」

――その後の歩みについては?
「宇宙関係の研究開発ならば普通は東大に進学するんですが、田舎育ちなので東京に行くことに躊躇いがあったのと、すごくリベラルな学風に惹かれて、最終的に京大の工学部を選びました。京大では核融合の研究に関わっている研究室で修士号まで取得しましたが、やはり宇宙船そのものを作りたいと思い、博士後期課程から東大に移りまして、はやぶさのイオンエンジンを作った研究室に在籍しつつ、プラズマ繋がりで電気を使った推進装置の基礎的な研究などを手がけました。博士号を取得した後は航空宇宙技術研究所(現:JAXA )で太陽熱を使った推進装置、そして30歳前後からは超小型衛星や衛星に搭載する電子回路の設計、軌道力学の計算などに関わるようになり、現在に至るという感じです」

―― ALEをご存じになったきっかけは?
「2009年、アクセルスペースという会社から「人工流れ星をやろうとしている人がいるんだけれども、協力をお願いできますか?」という打診を受けました。  
流れ星という自然現象を通して、大気観測を行っている人たちがいるのは知っていましたが、人工流れ星というプロジェクトは、理学や工学の学術的な探究だけでなく、エンターテイメントの要素まで加わってくる。このような三位一体型のプロジェクトは、従来存在しなかったものです。さらにビジネスとして軌道に乗っていけば、科学者が公的補助金などに頼らずに研究を続けられるようになるということで、すぐに話をお受けすることにしました。人工の流れ星プロジェクトは、超小型衛星の研究開発プロジェクトが抱えていた、ある種の課題にも応えることができるものでしたし」